冷え性改善の方法は?冷え性の症状や原因を合わせて解説

冷え性は、季節を問わず手足が冷えたり、体が温まりにくかったりする症状のことです。下半身や四肢の末端、内臓など冷えの部位はさまざまですが、基本的に症状の出る部位がはっきりしており、自覚しやすい点が特徴です。もし、冷え性が日常生活にも影響をおよぼしている場合は、冷え性の原因や対策を理解し、改善していく必要があります。

当記事では、冷え性の具体的な症状、原因、そして改善方法について詳しく解説します。自分の冷え性タイプを見極めた上で正しい対策を取ることが、冷え性改善につながります。

1. 冷え性とは?

冷え性とは、季節を問わず手足が冷えたり、体が温まりにくかったりする症状を指します。冷え性の症状は人によってさまざまです。ここでは、冷え性の具体的な症状について解説します。自分が冷え性に当てはまるかどうかの参考にしてください。

1-1. 冷え性の症状

冷え性には、主に症状が出る場所によって4つのタイプがあります。

下半身冷え性 腰から下が冷えるタイプの冷え性です。下半身が冷える一方で、顔や上半身がほてりやすく、上半身だけ汗をかく人もいます。
四肢末端冷え性 体幹と比べて手や足の末端が冷えるタイプです。四肢末端冷え性は、食事量や運動量が不足し、全身の発熱量が少ない人がなりやすいです。特徴として、手先や足先に触れるとひんやりしています。
内臓冷え性 おなかが冷えるタイプで、症状が外から分かりにくく、自覚症状を感じにくい点が特徴です。腹痛を起こしやすく、手足は温かい一方で二の腕が冷えることもあります。
全身冷え性 特定の部位ではなく、体が全体的に冷えるタイプの冷え性です。全身冷え性の人は体温が低く、一般的な平熱である36.5度に届きません。体温が日常的に35度台である場合も多々あります。

冷え性は症状が出る場所がはっきりしており、自分で判断しやすいタイプがほとんどです。内臓冷え性は一見分かりにくいタイプですが、症状の出方を知っていれば判断しやすくなります。

1-2. 冷え性と冷え症の違い

「冷え性」と「冷え症」はどちらも同じ読み方をする言葉です。体が部分的もしくは全体的に冷える点ではいずれも同じですが、厳密には意味が異なります。

「冷え性」と「冷え症」の大きな違いは、医学的な観点です。「冷え性」は症状が出ている一方で、検査や診察上異常が見られない状態を指します。一方「冷え症」は治療が必要な状態を指します。

冷え性は医学的な治療が必要な状態ではありませんが、放置してよい状態ではありません。症状が出ている場合は対策を行いましょう。

2. 冷え性の原因

冷え性の原因は、主に血行不良や体の発熱量の低下などがあります。血行や発熱の悪化を引き起こす要因は冷え性のタイプによってさまざまです。ここでは基礎知識として、一般的に冷え性の原因である血行不良・発熱量低下を引き起こす要因を解説します。

筋力の低下

運動不足などによって筋力が低下すると、血液を体に送るポンプ機能が低下し、血流が滞ります。また、筋肉は体の中でも主要な発熱源です。筋肉が少なくなると熱源不足に陥り、冷えを招くため、男性より筋肉量が少ない女性のほうが冷え性になりやすい傾向があります。
(出典:野田市「身体の“熱”の発生源は筋肉(市報のだ10月15日号掲載)」)

基礎代謝の低下

基礎代謝は、生命活動に必要な最低限のエネルギーです。基礎代謝は、特別な運動などをせず、横になっているだけでも消費されます。発熱には大量のエネルギーが必要です。なんらかの原因で基礎代謝が低下すると、体は生存に必要なエネルギーを節約するために発熱機能を低下させ、体温が上がりにくくなります。

食生活

食事の栄養バランスが崩れていると、血行が悪化します。特にミネラルやビタミン、鉄分などは血行促進に必要な栄養素であり、不足すると冷え性が悪化します。また、過度なダイエットなどで食事量自体が落ちると、基礎代謝の低下にもつながります。
(出典:農林水産省「ビタミンと食物繊維」)

ストレス

ストレスによる緊張状態は、血行が悪化しやすい状況です。特に女性の場合は、ストレスによる女性ホルモンの乱れからも血行不良が起こることがあります。

自律神経の乱れ

自律神経は無意識のうちに機能し、体の状態の調節を担う神経系です。自律神経は血管や内臓のはたらき、体温調節機能などにも関わっており、自律神経が乱れると冷えや発熱量の低下を引き起こすことがあります。

喫煙

タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させるはたらきがあります。体の冷えだけでなく動脈硬化や心疾患など死亡リスクを増加させます。
(出典:e-ヘルスネット「喫煙と循環器疾患」)

上記で紹介した点に思い当たる節があれば、普段の生活習慣が冷え性を引き起こしている可能性があるので要注意です。

3. 冷え性を改善するには?

冷え性を改善するためには、原因に応じて対策する必要があります。ここでは、具体的な冷え性改善法を解説します。いずれも日常生活に密着した方法のため、体の冷えに悩んでいる人は、生活に取り入れてみてください。

3-1. 食生活を見直す

食生活の乱れは、基礎代謝や筋力の低下、栄養不足による血行不良などさまざまな問題を引き起こします。冷え性対策には、体を温める食事を取ることが大切です。

体を温める食材とは、体の発熱量を高め、血行を改善する栄養素が多く含まれているものを指します。筋肉量減少を抑えるタンパク質や、血行を促進するビタミン・ミネラル・鉄分を多く含んだ食材がおすすめです。

具体的な食材としては、タンパク質の豊富な肉や魚を積極的にとりましょう。また、米や砂糖であれば、白米より胚芽米、白砂糖より黒糖など、白いものより黒や茶色に近い食材のほうが栄養素が多く含まれています。

体を温める食材は、冬に旬を迎えるものや寒い地域で取れるものに多く見られます。根菜類やショウガ、唐辛子などは体を温める機能があることで知られる食材です。反対に、南国で採れる食材や夏が旬の食材は体を冷やすと言われています。

また、食品は全般的に生で食べると体が冷えやすいので、冷え性改善には加熱調理がおすすめです。
(出典:厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「冷え対策!体をあたためる食材、冷やす食材」)

3-2. 規則正しい生活をする

早寝早起きは、自律神経を整えることにもつながります。不規則な生活で寝不足におちいると、心身の疲れが癒えずストレスがたまりやすくなります。睡眠以外にも、適度な息抜きや休息を取り入れ、ストレスをためない生活を送るのも大切です。

3-3. 体を温める

食事以外にも体を温める方法は多々あります。体を温める代表例が入浴です。シャワーで済ますのではなく、湯船につかると体が温まります。特にぬるめのお湯に長時間じっくりつかると体内から温まる上、リラックスして過ごせるため自律神経も整いやすくなります。

また、ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなど運動によって血行を促進させることも大切です。運動は筋肉量の低下を防ぎ、体の発熱量を高めるのにも役立ちます。特にふくらはぎの筋肉を使った運動は、筋肉のポンプ機能を高め、血行促進につながります。運動は短時間でも構いません。無理なく続けることが大切です。

靴下など、体を温めるアイテムを活用するのも1つの方法です。特に、首・手首・足首の「3つの首」を温めると体温が低下しにくいと言われています。血行が悪くならないよう、なるべく絞めつけの緩いアイテムを選ぶのがおすすめです。

3-4. 改善しない場合は病院を受診する

ここで紹介した対策を試しても冷え性が改善しない場合、病院で医学的な治療を受けることを検討しましょう。冷え性の場合は、内科を受診するのが一般的ですが、原因によっては心療内科や消化器内科などを受診するケースもあります。

冷え性の治療方法は、薬物療法・生活指導・温熱療法などです。薬物療法では、必要に応じてビタミンEや漢方薬が処方されます。

生活指導は、生活習慣や食事内容の指導によって冷え性改善を目指す方法です。喫煙者に対する禁煙指導も生活指導の一環です。

温熱療法のひとつとして、電波(超短波)の性質を利用し、血行を促して体の深部から温める方法もあります。

生活や食事内容の改善についても、自分で行うより的確な改善方法を試せる可能性があるため、対策に行き詰まったら病院に相談しましょう。

まとめ

冷え性は、体の一部または全体が冷たく感じる症状であり、原因としては血行不良や筋力低下、ストレス、食生活の乱れなどが挙げられます。また、ニコチンには血管収縮作用があることから、喫煙習慣がある方は冷え性を起こしやすい傾向があります。

冷え性を改善するためには、食生活の見直しや適度な運動、規則正しい生活習慣の維持が重要です。特に、体を温める食材を積極的に摂取し、湯船に浸かることや運動を取り入れることが大切です。ただし、冷え性がなかなか改善しない場合は、専門の医療機関への相談も検討しましょう。

監修者プロフィール

福井 直樹 先生

理学療法士
学校法人響和会 和歌山リハビリテーション専門職大学 教員
(一社)日本物理療法学会 理事
(一社)日本理学療法学会連合日本物理療法研究会 評議員

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