腰痛の原因となる病気とは?腰痛になったときの対処方法も解説

日本人で腰痛に悩む人は多く、特に年齢を重ねるにつれて腰痛を感じる人が増えていることが、データでも明らかになっています。腰痛にはさまざまな原因や、痛みの種類・発生するシーンがあります。たとえば、前かがみになると痛みが増すような人もいれば、何もしていないときでも腰が痛い人もいます。
腰痛は一般的な症状であり、原因を特定するためには医師による診断が必要です。
当記事では、腰痛の原因となる病気や、腰痛になったときの対処方法などについて詳しく解説します。

1. 腰痛を抱えている人の割合

腰痛は、特定の病気を指す名称ではなく、一般的には腰部に生じる痛みや違和感、不快感といった症状のことです。

日本の状況を見ると、人口1,000人あたり男性では91.6人、女性では111.9人が腰痛を経験しているとされています。
(出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
/https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/04.pdf#page=1

腰痛の原因は多岐にわたり、筋肉の緊張や損傷、椎間板の問題、関節の痛みなどが挙げられます。また、生活習慣や仕事環境、姿勢の悪さなども腰痛の要因となり得ます。社会的にも健康面においても悩ましい問題であり、腰痛の原因や対策については医療専門家による詳細な診断とアドバイスが必要です。

2. 腰痛の原因となる病気の種類

腰痛の85%は原因を特定するのが難しい「非特異的腰痛症」、残り15%が原因を特定できる「特異的腰痛症」と言われています。
(出典:NHK健康チャンネル「腰痛の危険度セルフチェック。原因や症状、対処法・治療の注意点 」https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_510.html

以下では、それぞれの腰痛の原因について解説します。

2-1. 腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎の椎間板、特に外側の線維輪と内部のゼリー状の髄核から構成された部分が損傷を受ける症状です。加齢や過度の負担により線維輪が弾力を失い、髄核が飛び出して脊髄神経を圧迫することで痛みが発生します。

主な症状は腰痛や下肢に広がる痛み、しびれです。若い成人、特に男性に多く見られ、不適切な姿勢や重いものの持ち上げがリスク要因です。

椎間板ヘルニアの診断には、患者の症状の観察と身体診察に加え、レントゲン検査やMRI検査が必要です。MRIは特に重要で、小さいヘルニアも検出可能ですが、時には造影剤を用いた検査やブロック注射による診断が行われることもあります。

2-2. 腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、加齢や椎間板の変性、骨の変形、靭帯の肥厚などにより脊柱管が狭くなる病気です。

この狭窄により、脊柱管内の馬尾神経が圧迫され、腰痛や歩行障害、下肢のしびれや筋力低下などの症状が生じます。特に歩行時に痛みやしびれが現れ、休憩すると一時的に改善しやすい間欠跛行は典型的な症状です。急激に症状が悪化する場合、馬尾神経が損傷し、激痛とともに失禁や局部の感覚喪失が起きる「馬尾症候群」と呼ばれる急を要する状態になることもあります。

中高年に多く見られ、血流障害によるものと似ているため、正確な診断と適切な治療が必要です。治療法としては薬物療法、リハビリテーション、場合によっては手術を行うケースもあります。

2-3. 筋・筋膜性腰痛症

筋・筋膜性腰痛症は、腰部の筋肉や筋膜に過度な負荷がかかることで生じる腰痛の一種です。 スポーツ中の激しい動作や衝撃(例:ピッチングやジャンプ)、長時間の不適切な姿勢が原因で発生することが多く、急性の筋肉や筋膜の損傷(肉離れなど)や慢性的な筋肉の過負荷によって引き起こされます。主な症状は、動作時の腰の痛みや腰部の圧痛です。

診断は、レントゲン検査やMRI検査で骨や神経の異常が見られないため問診と簡単な整形外科テストが一般的で、ほかの腰部疾患を除外するために行われます。

2-4. 骨粗しょう症

骨粗しょう症は、骨の密度と強度が低下し、わずかな衝撃で骨折しやすくなる病気です。特に脊椎椎体、大腿骨近位部、手首、腕の付け根などが骨折しやすい部位です。 多くの場合、自覚症状がなく、骨折が初めての兆候となることもあります。

骨粗しょう症は骨の新陳代謝のバランスが崩れることで発症し、骨吸収が骨形成を上回ると骨量が減少します。原因にはカルシウムやビタミンDの不足、運動不足、女性ホルモンの減少などがあり、閉経後の女性にも多い疾患です。社会の高齢化に伴い、骨粗しょう症の患者数は増加しています。

治療と予防には定期的な運動、およびカルシウムやビタミンD・マグネシウム、イソフラボン、適量のたんぱく質を含む食品の摂取が効果的です。

2-5. 非特異的腰痛症

非特異的腰痛症は、腰痛の原因が特定できない状態を指します。椎間板や椎間関節、仙腸関節、背筋など腰部の構造物が原因である可能性はありますが、具体的な発痛源を特定するのは難しいのが特徴です。腫瘍、骨折、骨粗しょう症など特定の疾患が原因ではないことが多く、日常生活や職場環境の見直しも重要です。腰痛の約85%がこのカテゴリーに分類されます。

原因としては、長時間の不適切な姿勢、運動不足、寒さによる筋肉の硬直、職場環境やストレスなどが考えられます。急性の腰痛、いわゆるぎっくり腰も非特異的腰痛に含まれます。

2-6. ストレスが原因の心因性腰痛(痛覚変調性疼痛)

心因性腰痛(痛覚変調性疼痛)は、心理的ストレスが主な原因で発生する腰痛です。ストレスによって脳に変化が起こり、通常は感じないはずの痛みが発生します。これは筋肉の緊張や循環不良を引き起こし、痛みを誘発すると考えられています。

心因性腰痛は、身体的な異常が見当たらないケースや、画像検査では原因を特定できないケースが多く、適切な治療を受けにくい場合がある点も特徴です。特に慢性腰痛では、脳からの神経伝達物質の放出が影響を受け、痛みを強く感じやすくなる場合があります。

心理的要因が腰痛を慢性化させる要因となり得るため、心因性腰痛の診断と治療にはペインクリニックや痛み治療に精通した医療機関の受診が大切です。

2-7. 内臓・脊椎の重大な疾患が原因の腰痛

腰痛は多くの原因によって引き起こされる可能性がありますが、中には内臓疾患や癌など重篤な病気が原因となるケースも存在します。

消化器系の疾患の例

  • 胆石症
  • 胆嚢炎
  • 急性膵炎
  • 胃・十二指腸潰瘍

泌尿器系の疾患の例

  • 腎臓結石/尿路結石
  • 腎盂腎炎
  • 前立腺がん

【循環器系の疾患の例】

  • 心筋梗塞
  • 大動脈解離

腰痛が唯一の症状である場合、これらの重大な疾患を疑うのは難しいかもしれませんが、ほかの症状も併せて現れる場合は、早急に医療機関での診察が必要です。特に循環器系の疾患は生命に関わる可能性が高いため、迅速な対応が必要です。

3. 腰痛になったときの対処の流れ

腰痛の症状は多岐にわたり、その原因によって痛みの質や特徴が異なります。病院で診察を受ける際には、痛みの特徴を正確に伝えることが大切です。以下に、症状別の痛みの違いについて解説します。

痛みの種類

鋭い痛み

例:「急に立ち上がったときに鋭い痛みを感じる」

鈍い痛み

例:「1日の終わりに疲れてくると、腰全体が重く鈍く痛む」

放散痛

例:「腰から足にかけて痛みが広がる」

痛みの時間帯や状況

朝起きたとき

例:「朝起きたときに腰が固まっていて痛い」

長時間座った後

例:「デスクワークの後、立ち上がるときに腰に痛みがある」

慢性的な腰痛の場合、普段から適度な運動を心がけ、腰を温めて血行をよくすることが有効です。運動は腰周りの筋肉を強化し、血行を促進することで痛みを和らげる効果があります。また、温かいお風呂に入ることや体を温めることで筋肉の緊張をほぐし、痛みの軽減につながります。

まとめ

腰痛と一口に言っても、腰(脊柱)に由来するものから、腰以外に由来するものまで、原因はさまざまです。安静にしていても痛みが和らがない場合は、医療機関で相談しましょう。

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監修者プロフィール

福井 直樹 先生

理学療法士
学校法人響和会 和歌山リハビリテーション専門職大学 教員
(一社)日本物理療法学会 理事
(一社)日本理学療法学会連合日本物理療法研究会 評議員

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