便秘の解消方法とは?マッサージや食事・生活習慣の改善方法を解説

便秘の悩みを感じやすいのは、普段から便意を我慢しがちな方や、無理なダイエット中の方、ストレスを感じている方です。また、水分摂取量が足りていない方や、運動不足の方も便秘になりやすいとされます。スムーズに排泄できない悩みを感じているときには、マッサージやストレッチなどで便秘を解消できる場合もあります。ただし、慢性的な便秘に悩まないためには、食事や生活習慣の改善も大切です。
この記事では便秘の解消につながるマッサージやストレッチ、ツボのほか、便秘の改善につながる食習慣や生活習慣についても解説します。
1. 便秘とは
便秘とは、本来排出すべき便を十分かつスムーズに排出できない状態を意味します。一般的に「便秘」と言う場合、排便回数や頻度の明確な目安は存在しません。毎日排便がある人も、トイレの直後にすっきり感を得られない、もしくは強くいきむ必要がある場合は便秘を疑ってください。
便秘を疑う症状はそのほか、以下の通りです。
- おならがよく出る
- お腹が張って苦しい
- 便が硬い
- 排便時に痛みがある
便秘によって腸内環境が悪化するとガスが発生しやすくなり、おならがよく出る・臭うなどの症状が出ることがあります。腸内環境の悪化によって発生したガスは、お腹の張りを増悪させます。お腹の張りがあるときには、腹痛・吐き気・胸焼けなどの症状を感じることもあります。
1-1. 便秘になる原因
便秘の主な原因は、以下の通りです。
- 便意の我慢
- 水分不足
- 無理なダイエット
- 過剰なストレス
- 運動不足
頻繁に便意を我慢すると直腸の反応が鈍くなり、便秘を招くリスクがあります。水分摂取量の不足は便の固さに影響し、便秘を招く原因となります。
また、無理なダイエットで食事の量を極端に制限すると十分なサイズの便を作れません。便のサイズが小さいと便意を感じにくくなり、便秘につながる恐れがあります。
仕事や人間関係のストレスは交感神経を優位にさせて、ぜん動運動を低下させる一因となり、頻繁にストレスを感じることでも腸内環境の悪化を引き起こします。
さらに排便と深く関わる筋肉である腹筋が、慢性的な運動不足により筋力低下をしていると、スムーズに排便しにくくなる傾向があります。
2. 便秘のときに試してみたいマッサージやストレッチ
市販の浣腸剤をはじめとした刺激性便秘薬には高い効果を期待できる反面、日常的に服用すると腸が刺激に慣れてしまうこともあります。便秘を感じたときにはマッサージやストレッチなどの方法も試してみましょう。
2-1. 簡単にできる便秘解消マッサージ
お腹のマッサージで大腸のぜん動運動を促進すると、便意を感じやすくなります。腸の形をイメージしつつ以下の手順でマッサージを行うと、腸のぜん動運動を助けることができます。
(1) | 仰向けに寝て、膝を立てる |
(2) | 両手をすり合わせて温め、下腹部に置く |
(3) | へそを中心として、時計回りにゆっくり動かす |
反対回りに動かすと逆効果になるリスクがあるため、手を動かす方向は必ず時計回りを守ってください。
お腹のマッサージは内臓に働きかけるケアにあたることから、腰痛がある人や妊娠中の人は医師に相談した上で、実践すると安心です。腹部の治療を受けている人も事前に医師へ相談し、安全性に配慮して、マッサージを行ってください。
2-2. 便秘のときにおすすめのストレッチ
運動不足による便秘を解消するためには、簡単なストレッチで腸に刺激を与えるのが有効です。以下では、デスクワークの合間に実践できる便秘対策ストレッチの手順を紹介します。
(1) | 椅子に浅く座って正面を向き、背筋を伸ばす |
(2) | 息を吐きつつ上半身を左にひねり、背もたれを両手で持つ |
(3) | 息を吸いつつ、上半身を元の位置に戻す |
(4) | 逆側も同様の手順でストレッチする |
寝た姿勢で腸に刺激を与えたい場合は、以下の手順に沿ったストレッチを試してください。
(1) | 仰向けに寝て両足を揃え、膝を立てる |
(2) | 息を吐きつつ、左側に膝を倒す |
(3) | 息を吸いつつ、元の位置に膝を戻す |
(4) | 逆側も同様の手順でストレッチする |
寝た姿勢のストレッチは、就寝前や起床後にベッドの上で行うとスムーズです。
2-3. 便秘に効くとされるツボ
便秘に効果があるとされる、代表的なツボを3つ紹介します。
天枢(てんすう)
天枢は、へその左右・指幅3本分外側の位置にあるツボです。天枢は人差し指・中指・薬指を揃えた状態で左右同時に、お腹が軽く凹む程度の強さで刺激します。
合谷(ごうこく)
合谷は、親指と人差し指の付け根部分・2本の骨が交わる場所の内側にあるツボです。合谷は反対側の手の親指と人差し指で挟み、適度な強さでもむことにより刺激できます。
三陰交(さんいんこう)
三陰交は、足の内側のくるぶしから指幅4本上・すねの骨後方のくぼみ部分にあるツボです。三陰交は、親指を立ててくぼみ部分に押し当て、左右に動かすイメージで刺激します。
いずれのツボも、「心地良い」と感じる程度の強さでゆっくりと押すことがコツです。
3. 便秘のときにおすすめの食事方法
食習慣の見直しで便秘予防・解消を目指す場合、1日3回、決まった時間に栄養バランスを考えた食事をとることが基本です。食事の時間を一定に保てば、決まった時間に排泄したくなり、便秘解消につながります。
また、食事の際には食物繊維を多く取れる食材を取り入れてください。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、特徴や適した便秘のタイプが異なります。
水溶性食物繊維
特徴 |
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食材例 |
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不溶性食物繊維
特徴 |
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食材例 |
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食物繊維以外には、ヨーグルト・味噌といった乳酸菌を含む食材も摂取してください。乳酸菌には悪玉菌の活動を抑制し、善玉菌を増加させて、腸内環境を整える働きが期待されるためです。
善玉菌を増加させて腸内環境を整えたいときには、腸内の善玉菌の栄養源となるオリゴ糖を含む食材を摂る方法もあります。オリゴ糖を含む食材の代表例は、ハチミツやバナナです。野菜の場合、アスパラガスや玉ねぎにオリゴ糖が含まれています。
4. 便秘解消につながる習慣
便秘対策の基本は、日常生活全般を見直し生活リズムを安定させ、自律神経バランスを整えることです。夜更かししないで早い時間に就寝し、早寝早起きを習慣化させましょう。
以下ではその他、便秘解消につながる生活習慣のポイントを解説します。
4-1. 毎朝の排便習慣をつける
朝食後は腸の働きが良くなるため、排便に適したタイミングです。便意がなくても毎朝同じ時間にトイレタイムを作り、最低5分程度は便座に座る習慣をつけることで、排便が促されます。
トイレタイムでお通じが起こりやすくなるように、以下の姿勢で便座に座り、便の通り道を広げることもおすすめです。
- 上半身をやや前方に傾ける
- つま先を立てて、踵を浮かせる
- 片方の肘を膝につけ、手の上にあごを乗せる
排便がない状態で長時間便座に座っていることは、便秘を悪化させるリスクがあります。5分程度座って排便がない場合には、無理にいきむのではなく、トイレタイムを終えてください。
4-2. お腹を冷やさない
お腹を冷やすと交感神経が優位になり、大腸のぜん動運動を低下させる可能性があります。お腹を温めることで、ぜん動運動が促進されます。以下に気をつけて生活しましょう。
- 冷たい飲み物、食べ物を極力控える
- 適度な運動を習慣化する
- 日々の入浴で身体を芯から温める
まとめ
排泄の悩みを抱えている場合は、食物繊維を豊富に含むゴボウやアボカド、納豆、いも・きのこ類を食事に取り入れるのがおすすめです。3食を決まった時間に取り、夜更かしは避けて自律神経を整えることで、排泄が促されやすくなります。便秘の悩み解消に“毎朝5分間のトイレタイム”を作り、排泄しやすい姿勢を意識してみましょう。
普段から適度な運動をするほか、腸の働きを活性化させるためにマッサージやストレッチ、ツボ押しなど、簡単な運動を日常的に取り入れることがスムーズな排便につながります。内臓を冷やしすぎるような食事は避け、入浴などで身体の深部まで温めることも心がけましょう。
また、家庭用電位治療器には慢性便秘の緩解に対する効果が認められています。家庭において慢性的な便秘の緩解を目指すには、治療器を活用するのもひとつの方法です。

監修者プロフィール
福井 直樹 先生
理学療法士
学校法人響和会 和歌山リハビリテーション専門職大学 教員
(一社)日本物理療法学会 理事
(一社)日本理学療法学会連合日本物理療法研究会 評議員