表情筋の鍛え方とは?鍛えるメリットや鍛えるときのポイントを解説

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表情筋とは、顔の表情や機能を司る30種類以上の筋肉の総称で、衰えると顔のシワやたるみが目立ちやすく表情も乏しくなります。特に、普段から感情を表に出さず、無表情な方の場合、表情筋が刺激を受ける機会が少ないため、表情筋は次第に衰える傾向にあります。また、加齢により筋肉量が減ることも、表情筋が衰える一因となります。

この記事では、表情筋を鍛えるメリットや簡単にできるトレーニング方法、トレーニングをするときのポイントについて詳しく解説します。

1. 表情筋とは

表情筋とは、目・鼻・口といった顔の部位を動かす筋肉の総称です。表情筋は30種類以上あり、口の周りにある口輪筋や口角下制筋、頬の頬筋・笑筋、目の周りの眼輪筋など、一つひとつに名前が付いています。

表情筋と総称される理由は、表情筋の動きによって喜怒哀楽の表情を作り出せるためです。また、表情筋は目の開閉や、しゃべる・食べるといった複雑な口の機能にも関わっています。

1-1. 表情筋が衰える理由

表情筋が衰える主な理由としては、下記の4点が挙げられます。

日常生活で表情筋を使っていない

表情筋は、日常生活では全体の約30%程度しか使われていないと言われています。「無表情で過ごす時間が長い」など、顔の筋肉をあまり動かさない生活を送っていると、表情筋が刺激される機会が少なくなり、衰えるようになります。

特に、人と話す機会が少ない方や仕事でパソコンを長時間使う方、マスクを長時間着ける生活をしている方は、無表情で過ごす時間が長くなりやすいため注意しましょう。

加齢で表情筋の筋肉量が減っている

表情筋は、加齢による影響も受けます。筋肉を構成する筋繊維の本数は加齢に伴って減少すると言われており、新しい筋繊維を生成する力も若い頃に比べて低下します。

表情筋の筋肉量が減ると、表情筋を大きく動かそうとしてもなかなか動かせません。結果として、加齢によって表情筋が衰えます。

顔面神経麻痺がある

顔面神経麻痺は、顔の表情筋を動かす神経が何らかの原因で障害されることにより、顔の一部または半分が動かなくなる状態を指します。この状態が続くと、表情筋が衰える(表情筋の萎縮が起こる)ことがあります。

外傷がある

外傷によって顔面神経の損傷をした場合は、神経がダメージを受けたことで表情筋が働かず、長期間動かさないことにより筋肉は廃用性萎縮を起こします。これにより血流量が低下し、筋肉への酸素や栄養供給の不足を招き表情筋の衰えが生じます。萎縮が進行すると、顔の非対称や機能低下を招くことがあります。

表情筋を鍛えることを意識しなければ、表情筋の筋肉量を維持・増加させることは難しいと言えます。

2. 表情筋を鍛えるメリット

表情筋を鍛えることには、主に2つのメリットがあります。

シワやたるみの改善が期待できる

顔のシワやたるみは、皮膚を支えている顔の筋肉量の減少が主な原因です。表情筋を鍛えると、皮膚を支えている顔の筋肉が活性化し、シワやたるみの改善が期待できます。

また、表情筋を動かすと顔の血行がよくなって、肌の色も明るく見えるようになります。

表情が豊かになり若々しい印象になる

表情筋は鍛えることで大きく動かせるようになって、笑顔などの表情を作りやすくなります。豊かな表情からは感情表現もしやすくなり、若々しい印象を周囲に与えられます。

顔のシワ・たるみが気になっている方や、表情の若々しさを取り戻したい方は、表情筋を適度に鍛えることがおすすめです。

2-1. 表情筋を鍛えすぎるとデメリットがある?

表情筋は正しいやり方で鍛えなければ、かえってほうれい線やたるみが目立つ顔になります。表情筋の鍛えすぎは、同時に皮膚にとっては大きな負荷がかかるため注意しましょう。
表情筋の上部には、主に皮下脂肪で構成されている「皮下組織」が存在します。皮下組織は皮膚の一部であり、伸び縮みを繰り返すなどの過度な負荷がかかると、ダメージの蓄積が避けられません。

結果として、皮膚にほうれい線が定着しやすくなったり、たるみが増えたりします。

また、表情筋の中でも唇の左右にある「咬筋」の鍛えすぎは、顔のエラが張って四角いフェイスラインになる可能性もあります。

表情筋を鍛えてシワ・たるみ改善をするには、正しいやり方で行うことが大切です。

3. 簡単にできる表情筋の鍛え方4つ

表情筋は顔に存在する筋肉であるため、トレーニング場所を用意する必要はありません。仕事や家事の合間にも、少し意識するだけで簡単に表情筋を鍛えられます。

以下では、スキマ時間に簡単にできる表情筋トレーニングを4つ紹介します。

3-1. あいうえお体操

あいうえお体操は、口を大きく動かして「あいうえお」を発声するときの形にします。口を中心に、顔全体の表情筋を鍛えられるトレーニングです。

(1) 目を見開いて、口を「あ」の形に大きく開く。
(2) 口角を左右に広げて、口で「い」の形を作る。
(3) 顔全体を中心に寄せるようにして、口を「う」の形にすぼめる。
(4) 口を「え」の形にして、左右の口角も上げる。
(5) 顔全体を上下に広げるようにして、口を大きく「お」の形にする。

あいうえおの形をそれぞれ5秒程度キープして、2~3回繰り返します。最初のうちは鏡の前で行って、表情筋がしっかりと動いているかを確認することがおすすめです。

3-2. フィンガーインスマイル

フィンガーインスマイルは、口角と頬を持ち上げるように笑顔を作るトレーニング方法です。頬にある口角挙筋や大頬骨筋を鍛えることができて、会話中に自然な笑顔を作れるようになります。

(1) あごを引いた体勢で人差し指を軽くくわえ、顔全体の力をゆるめる。
(2) 上の歯が8本見えるように、頬と口角を持ち上げて笑顔を作る。
(3) 5秒キープした後に、顔全体の力をゆるめる。
(4) 同じ動作を5~10回繰り返す。

注意点として、手順中の2で笑顔を作るときに下側の歯が見えていると、あごに力が入っています。下側の歯が見えないように鍛えることがコツです。

3-3. 割り箸エクササイズ

割り箸エクササイズは、1本の割り箸を使って行うトレーニングです。表情筋の中でも、笑顔を作るときに重要な役割を担う「大頬骨筋」を鍛えられます。

(1) 割り箸を用意して、左右の犬歯で挟むように軽くくわえる。
(2) 割り箸よりも高い位置にくるように、左右の口角を上方向へと引き上げる。
(3) そのまま30秒キープした後に、口角を元の位置に戻す。

30秒のキープが難しいときは、15秒程度から始めることがおすすめです。鏡を見ながら左右の大頬骨筋を両手でやさしく引き上げると、口角アップのやり方も理解できるようになります。

3-4. 舌回しトレーニング

舌回しトレーニングは、舌を動かすだけで行えるトレーニングです。口周辺にある筋肉を同時に鍛えられて、顔のほうれい線やたるみの改善効果が期待できます。

(1) 口を閉じた状態で、外側の歯茎を舌先で時計回りになぞるように、20周させる。
(2) 反時計回りに舌を動かして、20周させる。

舌回しの速さは1周あたり3秒が目安です。

また、慣れないうちは時計回り5回、反時計回り5回のように回数を少なくしても構いません。慣れてくると口周辺の筋肉が動いていることを実感できるようになり、回数も徐々に増やせます。

4. 表情筋を鍛えるときのポイント

最後に、表情筋を鍛えるときのポイントを2つ紹介します。

正しい姿勢でトレーニングする

表情筋のトレーニングは、背筋をピンと伸ばしてあごを引いた姿勢で行うことが大切です。

崩れた姿勢でトレーニングをしても、表情筋をしっかりと伸ばすことができず、トレーニングの効果を出せません。猫背や巻き肩はもちろん、身体の軸や左右のバランスが崩れていないかにも注意してください。

毎日継続して鍛える

表情筋のトレーニングは、一時的に行うだけでは高い効果を得られません。毎日継続して鍛えることで表情筋が徐々に鍛えられて、ほうれい線やたるみの解消が期待できるようになります。

慣れないうちは、トレーニングの回数を少なく抑えることが継続するためのコツです。まずは少ない回数でトレーニングを始めて、徐々に回数を増やしていくと、無理なく毎日のトレーニングが行えるようになります。

2つのポイントを押さえてトレーニングを行うためには、朝の洗顔時など、鏡を見るタイミングで表情筋のトレーニングを行うことがおすすめです。

鏡を見ながら行うことで正しい姿勢を意識しやすくなり、日常生活にトレーニング習慣を自然と組み込めます。

まとめ

表情筋を鍛えると、表情が豊かになり、シワやたるみの改善にも期待できます。日常的にトレーニングを続け、仕事や家事の合間に表情筋を鍛えるのがおすすめです。

ただし、正しい方法で行わなければ、かえって皮膚に負荷がかかり、ほうれい線が定着しやすくなったり、たるみが増えたりする恐れがあります。トレーニングに慣れないうちは、背筋が伸びてあごを引いた正しい姿勢になっているか、鏡を使って確認するのが効果的です。

正しい姿勢で毎日トレーニングを続ければ、徐々に表情筋が鍛えられ、若々しい印象を保ちやすくなります。

監修者プロフィール

福井 直樹 先生

理学療法士
学校法人響和会 和歌山リハビリテーション専門職大学 教員
(一社)日本物理療法学会 理事
(一社)日本理学療法学会連合日本物理療法研究会 評議員

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