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足の裏が痛いのはなぜ?足底腱膜炎の症状や予防のストレッチも解説
- 部位のお悩み
足が地面についたときに、土踏まずや踵に痛みを感じる場合、土踏まずの縦アーチ部分を支える足底筋膜が炎症を起こしている「足底筋膜炎」の可能性があります。一度発症すると長期間痛みが続くだけでなく、無理をすると足の骨が足底筋膜に引っ張られて変形し、手術が必要になるケースもあるため、早めの対策が必要です。
この記事では足の裏に痛みを感じており、早く治したい方に向けて、自分で簡単にできる足底筋膜炎の対処法や予防方法を解説します。
足底筋膜炎とは、踵から足指の付け根にある足底筋膜という組織が炎症を起こした状態です。歩き出しやジャンプ時に足裏に痛みを感じることが特徴です。
踵から足指の付け根までをつなぐ足底筋膜は、土踏まずの縦アーチ部分を支えています。 足底筋膜が炎症を起こすことで、足裏への衝撃を吸収できず痛みが生じやすくなります。
足底筋膜炎が起こる主な原因は、下記の通りです。
スポーツや仕事などによる足裏への負担が大きい場合や、加齢によって足の筋肉が衰えている場合に、足底筋膜炎が起こりやすくなります。
扁平足は土踏まずの縦アーチがつぶれた状態、外反母趾はつま先に負荷がかかって横アーチがつぶれた状態です。いずれも生まれつきの場合もありますが、成長過程や日常生活によって起こるケースもあります。
足底筋膜炎は、症状に合わせてケアをしたり痛みがある場合は安静にしたりすると治りが早くなります。日常的に履いている靴を見直すのも1つの方法です。
足底筋膜炎による足裏の痛みに悩んでいる方は、以下のような自分で簡単にできる対処法を試してください。
足底筋膜炎による足裏の痛みは、症状に合わせて温めたり冷やしたりすることで炎症を抑える効果が期待できます。
症状別の対処法は、下記の通りです。
慢性的な痛みが続いている | 痛みが長く続いている場合は、ぬるめの湯船に足をつけ、血行をよくすると痛みが改善しやすくなります。 |
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急性的な痛みが起こっている | 急性的な痛みがある状態で患部を温めると、痛みが強くなる可能性もあります。患部が腫れていたり熱を持ったりしている場合は、炎症を抑えるためにアイシングや氷水などで冷やしてください。 |
足底筋膜炎の対処法の1つに、足裏のストレッチがあります。ストレッチにより足底筋膜をゆるめたり伸ばしたりすることで、足底の柔軟性を高め、足底筋膜にかかった負荷を軽減できます。
足底筋膜のマッサージ・ストレッチ方法は、以下の通りです。
足裏と同時に足首やふくらはぎの筋肉も一緒に鍛えると、足関節周りの安定感もアップします。
より足に合ったインソールや靴に交換すると、歩く、走るといった動作で足底筋膜にかかる負荷が軽くなり、痛みを軽減できます。
インソールや靴選びのポイントは、下記の3つです。
足の形や骨格に合わないインソールを選ぶと、症状が良くなるどころか悪化する可能性もあります。また、サイズが合わない靴や古い靴は、足に負担がかかりやすいため要注意です。また、足底筋膜にかかる負荷を軽くするには靴のクッション性がポイントです。
また、かかと部分をしっかりと支えつつ、土踏まずの部分にかかる衝撃を吸収してくれるインソールや靴であれば、足底筋膜の痛みを軽くできます。市販のインソールが自分の骨格に合っているか判断が難しい場合は、オーダーインソールを選んでください。
足底の筋力アップトレーニングは、偏平足や外反母趾の原因となる足裏のアーチの崩れを防ぎやすくなるだけでなく、血流改善や正しい姿勢の維持にも役立ちます。
足底の筋力アップに効果的なトレーニング方法は、以下の通りです。
片足ずつ5~10回を目安に行います。カーペットや畳はタオルがすべりにくいので、フローリング床でのトレーニングがおすすめです。
ビー玉の数は30個程度、トレーニング時間は片足1分間が目安です。
基本的に、足底筋膜炎の治療には下記内容の保存療法が用いられます。足底筋膜炎の主な治療方法は次の3つです。
薬物療法では、通常抗炎症作用や鎮痛作用がある非ステロイド性消炎鎮痛剤を用います。痛み止めの服用や湿布・軟膏などの外用のほか、痛みが強い場合にはステロイド注射を行うこともあります。
リハビリテーションでは、足底の柔軟性を高めたり姿勢を改善したりする目的でストレッチやトレーニングを行います。特に筋力低下・姿勢不良・足の変形によって痛みが生じている場合に効果的な方法です。電気や超音波を利用した物理治療と組み合わせて行うケースが多くあります。
装具療法とは、足形を取って作ったインソールを使用する方法です。自分の足の形や骨格に合うインソールを靴に入れることで、足裏への負担を軽減します。インソールの効果を維持するために、定期的に医師や理学療法士がインソールの状態をチェックし、必要に応じて交換します。
足底筋膜炎が疑われる場合は、整形外科を受診しましょう。早期改善のためには、状態や痛みの度合いに合わせて適切な治療を受けることが大切です。
足底筋膜炎の予防には、次の3つの方法が効果的です。
オーバーユースが原因で足裏に痛みが生じている場合は、運動量を軽減し、足への負担を減らしてください。オーバーユースとは、特定の部位に継続的に負荷がかかることを意味します。痛みや違和感がある場合は、足底筋膜炎を予防するためにトレーニングメニューを調整することも大切です。
足の筋力や柔軟性を高めることで、足底筋膜のダメージや断裂を防ぎやすくなります。スポーツや立ち仕事、加齢などによる足裏の痛みが気になる方は、ストレッチや筋トレを習慣化するのがおすすめです。
足底部分にテーピングをすると、踵部分のクッション性が高まり土踏まずの縦アーチ部分が支えられます。伸縮性のあるテープを使うと固定感が持続しやすくなります。ただし、皮膚が弱い方はかぶれに注意が必要です。テーピングをする場合は、アキレス腱にかからないように位置に気を付けてください。
スポーツをする方や立ち仕事が多い方は、足底筋膜炎のリスクが高まります。足のケアや対策を徹底して、痛みの改善と予防を心がけてください。
足底筋膜炎は足裏にある足底筋膜(足底腱膜)に負荷がかかった結果起こる炎症です。痛みが始まってすぐであれば足裏を冷やし、慢性化している場合はぬるま湯などで温めると痛みが改善します。また、足底筋膜や足首をストレッチでほぐしたり、足底の筋力アップトレーニングをしたりすれば足裏のアーチの崩れが改善され、足底筋膜の早期回復につながります。
足裏にかかる負荷を軽くするために、足に合ったクッション性の高いインソールや靴へ履き替えるのも効果的です。痛みがなかなか改善しない・悪化する場合は整形外科で診察を受け、投薬やリハビリ、体に合ったインソールを利用した装具療法などの治療を受けてください。
監修者プロフィール
福井 直樹 先生
理学療法士
学校法人響和会 和歌山リハビリテーション専門職大学 教員
(一社)日本物理療法学会 理事
(一社)日本理学療法学会連合日本物理療法研究会 評議員