足の裏が痛いのはなぜ?足底腱膜炎の症状や予防のストレッチも解説

長時間走り続けたり、ジャンプを何度もするスポーツをしたりした後や、立ち仕事を長時間続けた後は、足の裏に痛みを感じる場合があります。痛みの原因として考えられる疾患の1つが、足底のクッションとなる部位である「足底腱膜」で炎症が起こる「足底腱膜炎」です。足底腱膜が足裏への衝撃や疲労によって硬化することで傷つき、炎症を起こすことで痛みがでます。

この記事では足底腱膜炎の症状や足底腱膜炎のリスクが高い人の特徴、一般的な対処法や予防方法について解説します。

1. 足裏の痛みは足底腱膜炎のせい?

足底腱膜炎(足底筋膜炎)とは、「足底腱膜(足底筋膜)」と呼ばれる足裏の膜に痛みを生じる疾患です。足底腱膜は、足のつま先からかかとまで足底部を縦に繋いでいるシートのような組織で、歩く・走るなど日常生活の基本的な動作において、足のバネの役割を果たす大切な部位です。

足底腱膜炎は、足底腱膜に負荷が蓄積されることで引き起こされます。一部、年齢や生活習慣、ワークスタイルなどによって、症状が現れやすい人がいるものの、誰もが発症する可能性のある疾患です。

1-1. 足底腱膜炎の症状

足底腱膜炎の主な症状として、足裏の痛みが挙げられます。足底腱膜に沿って足裏全体に痛みが出るものの、かかとの骨の下に膜が付いているので、かかとに強い痛みを感じる人が多い傾向があります。

朝起きた後やしばらく休憩した後の第1歩目など、安静にしていたすぐ後に足を着いたとき、強い痛みを感じ、5分〜10分程度で痛みが引いていくのが特徴です。しかし、長時間歩いた後や、しばらく座り続けた後に立ち上がるときなどに、再び痛みを感じることがあります。

足裏の痛みのほかに現れる症状として、足底腱膜の腫れや足底患部を押したときの痛みなどが挙げられます。一度痛みが弱まったからといって放置すると、炎症が悪化し、かかとからつま先へ痛みが広がったり、鋭い痛みに変わったりする恐れがあるため、注意が必要です。

2. 足底腱膜炎で足が痛くなる原因は?

足底腱膜炎で足が痛くなる原因として、主に下記の3点が挙げられます。

足に衝撃がかかるスポーツをしている

マラソンなど、足に衝撃がかかるスポーツをしている人は、足底腱膜炎になりやすいとされます。足裏へ何度も強い衝撃を与えると、足底腱膜や周辺の筋肉が硬くなり、その状態で無理やり筋肉を引っ張ると筋肉が損傷して足底腱膜炎の原因となります。
特に、地面の硬いアスファルトなどの道は、足裏への衝撃がより強く、足底腱膜の負担が大きくなるので注意しましょう。

加齢や疲労の蓄積がある

加齢や疲労の蓄積は、足底腱膜が硬くなる原因の1つです。足底腱膜や足の筋肉が硬くなると、足裏の土踏まずがつぶれて、クッションとしての機能が低下します。結果、歩いたり走ったりするときに、足裏に余計な体重の負荷がかかり、足底腱膜炎を発症します。
特に長時間立ちっぱなし・歩き続ける仕事についている方は足底腱膜になりやすいため、注意が必要です。

新しい靴に替えた

新しい靴に替えてすぐは、足裏に負担がかかりやすく、足底腱膜炎を引き起こす可能性が高まります。靴底が薄い靴、かかとが高い靴、サイズが合っていない靴の場合は特に足底腱膜炎のリスクが高いと言えるでしょう。

2-1. 足底腱膜炎になりやすい人

足底腱膜炎になりやすい人には、下記の特徴があります。

  • ふくらはぎやアキレス腱が硬い
  • 長時間の立ち仕事をしている
  • 足の筋肉が落ちている
  • 体重が増えてしまった

また、足裏の土踏まずが低い扁平足の人や、反対にハイアーチの(土踏まずが高すぎる)人も、足裏部分への衝撃が大きくなるため、足底腱膜炎になりやすいとされます。

3. 足底腱膜炎への対処法

足底腱膜炎の痛みは、軽症の場合、大規模な手術を必要としないケースがほとんどです。ただし、重症化したものの場合は部分的に腱膜を切離する外科手術が必要なケースもあります。

通常、足底腱膜炎への対処法としては、主に保存療法とリハビリテーションの2つの方法が挙げられます。症状やもともとの身体機能にあわせて、保存療法とリハビリテーションのいずれかを選択したり、2つを組み合わせて対処したりするのが一般的です。

ここでは、足底腱膜炎における保存療法とリハビリテーションの内容について、詳しく解説します。

3-1. 保存療法

足底腱膜炎への対処法の1つに、保存療法があります。

保存療法とは、薬物療法や生活指導などを行って、症状の軽快を目指す対処法です。手術をして根本的な痛みの原因を取り除くのではなく、悪化を防ぎながら少しずつ症状が改善する状態を目指します。

足底腱膜炎の場合、日常的な生活指導や外用薬・消炎鎮痛剤の処方、温熱療法など、複数の保存療法を組み合わせて治療するケースが一般的です。症状によっては、医療機関でステロイド注射をすることも考えられます。

また、治療中はスポーツや立ち仕事などを一時中断して治療に専念することが求められます。

3-2. リハビリテーション

足底腱膜炎のリハビリテーションには、筋肉のトレーニングや足全体のマッサージ、超音波療法など、さまざまな方法があります。姿勢や股関節の柔軟性などが足底腱膜炎の要因となっている場合は、足の部位だけでなく全身のケアに取り組みます。

リハビリテーションでは、理学療法士による専門的な指導に沿って、ストレッチやトレーニングを行います。身体の柔軟性に自信がない人や、筋力の衰えが気になる人などが、足底腱膜炎を発症したときは、リハビリテーションがぴったりの治療法です。

それぞれのコンディションに合わせて、理学療法士がメニューを組んでくれるのが、リハビリテーションの大きなメリットです。

4. 足の裏の痛みを予防するには?

足底腱膜炎で足の裏が痛くなるのを防ぐために、下記の3点を意識しましょう。

練習量を調整する

足への衝撃が強いスポーツをしている人は、練習量の調整が大切です。疲労の蓄積が足底腱膜炎を引き起こすため、無理のない練習メニューを組み立てましょう。

テーピングを活用する

扁平足が気になる人は、テーピングを活用するのも1つの方法です。足裏にテーピングでアーチを作ると、衝撃を吸収するクッションとしての機能が高まります。

クッション性のある靴を選ぶ

足裏への衝撃を防ぐために、クッション性のある靴を選ぶのがおすすめです。気に入った靴に、インソールを使用する方法もあります。


そのほか、足底腱膜炎予防法として足底ストレッチを行うのもよい選択です。足裏やアキレス腱などに効果的な足周りのストレッチを紹介します。

4.1 足底腱膜炎を予防するストレッチ

足底腱膜炎を予防するために、3つのかんたんなストレッチを紹介します。

足裏のストレッチ

(1)つま先を立てたまま、床に膝をつきます。
(2)つま先にゆっくりと体重をかけ、足裏が反るようにしたまま10秒~15秒間キープします。1日3セット行うのが理想です。

ふくらはぎ&アキレス腱のストレッチ

(1)伸ばすほうの足を前に出し、片膝を立てて座ります。
(2)かかとは宙に浮かせ、前足に体重をかけていきます。息を吐きながら、3回繰り返しましょう。

まとめ

マラソンなど足に衝撃がかかるスポーツをしている方、長時間立ちっぱなしの仕事についている方、足に合っていない靴を履いている方は足底腱膜炎のリスクが高くなります。運動不足や加齢で筋力が低下している場合や、偏平足など足のアーチが崩れている場合も同様にリスクが高まるため注意が必要です。日常的にストレッチして、足底腱膜が硬化し損傷しやすくなる状態を防ぎましょう。

また、足裏に痛みを感じた場合、まずはマイクロカレント療法を試してみるのも効果的です。ほかにも、足底腱膜炎への物理療法アプローチとしては、超音波療法や拡散型圧力波も有用な手段の1つです。

監修者プロフィール

福井 直樹 先生

理学療法士
学校法人響和会 和歌山リハビリテーション専門職大学 教員
(一社)日本物理療法学会 理事
(一社)日本理学療法学会連合日本物理療法研究会 評議員