Column 03

肉離れとはどんな症状?原因や対処法も合わせて解説
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筋肉痛は激しく使った筋肉を修復する際に起こる痛みです。筋肉の修復が終わり、痛みの原因がなくなるまでは痛みが続くため、長い時間痛みに悩まされるケースも多くあります。ただし、適切にケアすれば回復を早められるだけでなく、傷ついた筋繊維がより太くなる「超回復」につながり、筋力アップも可能です。
この記事では筋肉痛が治らないときのセルフケア方法や予防方法、および筋肉痛がいつまでも治らない場合に考えられる疾患について解説します。
筋肉痛とは、運動後に生じる筋肉の痛みのことで、正式名称は「筋・筋膜性疼痛症候群」です。一般的に筋肉痛と呼ぶ場合は、運動後に数時間~数日経過してから発生する「遅発性筋肉痛」を指します。特に、運動不足の状態で激しい運動をした場合や慣れない動きをした場合に現れやすい症状です。
運動すると筋線維が引き伸ばされ、筋線維に細かい傷ができます。筋肉痛の正体は、運動で傷ついた筋線維を修復するときに起こる痛みです。筋線維自体は痛覚がなく、筋線維が傷ついたタイミングでは傷みが発生するわけではありません。
傷ついた筋線維を修復する過程で、修復箇所に炎症反応が生じ、ブラジキニンやヒスタミンなどの物質が分泌されます。ブラジキニン・ヒスタミンは発痛物質と呼ばれ、分泌されることで神経を刺激して痛みを引き起こすため、筋肉痛の原因物質として知られています。
筋繊維の修復の際に痛みを感じる箇所は筋膜と報告されています。炎症が広がり、筋膜や周辺組織にブラジキニンなどが到達してから痛みが現れます。これが、運動してから筋肉痛が発生するまでにタイムラグが生じる理由です。
また、過去には筋肉痛の原因物質として乳酸が挙げられていましたが、乳酸は通常運動をしていないときにも発生し、筋肉疲労や傷みを起こす原因ではないとされています。
筋肉痛は、筋繊維の回復が完了すると治まっていきますが、治るまでに時間がかかる場合があります。筋肉痛がなかなか治らない場合は、血行を促して筋肉を休養させることが大切です。
以下では、具体的にどのようなケアをすればよいかを解説します。
患部を冷やしたり温めたりすることで、炎症や腫れなどを緩和させ、血管の圧迫を緩めて血行を促す効果が期待できます。冷やすか温めるかは、筋肉痛の症状を見て判断してください。
筋肉痛が始まってから2~3日以内で、患部が熱をもっている場合は冷やしてください。筋肉痛が始まってすぐの急性期は、炎症反応が起きている最中です。温めると炎症反応が活発になり、痛みが増す恐れがあります。
患部が熱をもっておらず、こわばった感覚や重だるい痛みがある場合は、炎症が治まっている状態です。痛みの原因は炎症ではなく、患部に残留した物質であるケースが多いため、温めて血行を促し、原因となる物質を排出します。
患部だけでなく体全体を温めると、全身の新陳代謝が活発になり、痛みの原因の物質を排出しやすくなります。
体全体を温めるには、40度程度のぬるいお風呂に入浴するのがおすすめです。ぬるいお風呂につかると副交感神経が刺激されてリラックスでき、全身の血行が促されます。短時間の入浴では体全体が温まりきらない場合もあるので、半身浴で体への負担を減らすなどして、20分程度ゆっくり浸かってください。
また、全身を温めるには温冷交代浴も効果的です。温冷交代浴は、40度程度のぬるま湯に3分ほどつかり、湯から上がって30度ほどの水を体に30秒かけ、再び湯につかる入浴方法です。簡単に行える上に2~3回繰り返すだけでよく、普段の入浴にも取り入れやすいメリットがあります。
マッサージとストレッチには、筋肉痛や疲労により緊張して硬くなった筋肉をほぐし、血行を促進する作用があります。
筋肉痛の症状が出ている場合は、筋肉を傷つけないように弱い力をかけたマッサージや、軽いストレッチを行うのがおすすめです。運動後や体が温まっている入浴後などのタイミングで行うと、より高い効果が見込めます。
筋肉痛を解消するには、筋繊維の修復に必要な栄養を摂取することも大切です。筋肉痛解消に必要な栄養素の代表は、筋繊維の材料であるタンパク質です。また、あわせてBCAA(分岐鎖アミノ酸)およびビタミンB群も摂取すれば、筋肉痛の回復が早まります。
BCAAはバリン・ロイシン・イソロイシンのアミノ酸3種の総称で、筋肉の分解抑制や筋肉へのエネルギー供給に役立ちます。BACCは体内で作り出せないため、食事からの摂取が必要です。BCAAはマグロ・カツオなどの赤身の魚や鶏肉に多く含まれています。
一方、ビタミンB群は糖質や脂質、タンパク質の代謝に必要な栄養です。特にタンパク質の代謝を進めることで、筋肉痛の解消を手助けします。ビタミンB群が多く含まれる食品は、うなぎ・豚肉・ナッツ類などです。
また、筋肉痛が起きているときは、筋線維の修復に必要な栄養をとるだけでなくしっかり体を休めてください。筋肉痛が起きた部分を休ませることで、以前より筋線維が太くなる「超回復」が起き、筋力アップや筋肉痛の予防にもつながります。
ケアをしてもいつまでも筋肉痛が治らない場合は、筋肉痛以外の疾患の可能性があります。筋肉痛が長引く場合には、以下のような疾患が考えられます。
リウマチ性多発筋痛症は、肩や首、肩甲骨のまわり、太ももなどの筋肉に凝りのような痛みが現れる疾患です。場合によっては寝返りが打てないほど強い痛みや微熱が出ることもあります。
皮膚筋炎は免疫システムの異常によって筋肉や皮膚に痛みが出る疾患で、膠原病の一種です。筋肉の痛みにくわえて赤い発疹が出る点が特徴で、肺炎や腫瘍などの合併症を伴うケースも多々見られます。
線維筋痛症は、全身に痛みやうずき、こわばりが現れる疾患です。症状が慢性的に現れる場合がほとんどで、心身のストレスによって痛みに対する感度が高まっていると考えられています。
いずれの疾患も、筋肉痛のメカニズムとは異なる原因によって引き起こされ、筋肉痛のケアでは症状を緩和できません。症状によっては、大きな病院での検査や治療が必要となることもあります。疾病の早期発見のためにも、傷みが不自然に長引くようであれば、病院での受診を考えてください。
筋肉痛は症状が現れた後にケアできますが、日頃の生活を改善すれば筋肉痛対策につなげられます。筋肉痛の予防にはストレッチと運動が効果的です。
運動不足は筋肉痛の大敵です。日頃から運動習慣をつけると、筋肉痛が起きにくくなります。また、筋肉が鍛えられると筋線維が損傷しにくくなり、ブラジキニンやヒスタミンといった痛みの原因物質が分泌されにくくなります。
いきなり負荷が高い運動をすると、収縮していた筋線維が急激に引き伸ばされて損傷の原因になります。運動の前後に軽いストレッチを取り入れ、徐々に運動強度を高めていくと、筋肉痛を防ぎやすいです。
運動とあわせてしっかり水分補給すると、原因物質を効果的に体外へ排出でき、筋肉痛の緩和につながります。脱水症状の予防にもなるので、運動中だけでなく、運動の前後にも意識的に水分補給を行うのが大切です。
筋肉痛が治らない・痛みが続く場合、患部が熱をもって痛みが強いときは冷やし、熱をもっていないが重だるい感覚があるときは温めます。重だるさが取れない場合は血行を促進し、痛みの原因となるブラジキニンやヒスタミンを排出するためにお風呂で体全体を温めます。湯船に浸かりながらマッサージやストレッチをし、筋肉のこわばりをほぐすのもおすすめです。並行してタンパク質やBCAA・ビタミンB群が豊富な食材を摂取して筋肉の回復を促し、しっかりと休養を取れば早期回復が見込めます。
筋肉痛の回復には、物理療法の中では「マイクロカレント(微弱電流)療法」が用いられることが多くあります。伊藤超短波が製造しているマイクロカレント機器は、状態に併せてモードの選択も可能です。
マイクロカレント治療器を筋肉痛ケアの第一選択として活用してみましょう。
監修者プロフィール
福井 直樹 先生
理学療法士
学校法人響和会 和歌山リハビリテーション専門職大学 教員
(一社)日本物理療法学会 理事
(一社)日本理学療法学会連合日本物理療法研究会 評議員