Column 12
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ゴルフ肘は、「ゴルフ」以外のスポーツでも起きることがあります。例えば、ボーリングなどの手首を曲げるスポーツを長時間プレーした場合や、日常生活で重いものを持ち運んだとき、長時間のタイピング動作によってゴルフ肘になるケースがあります。肘の内側に痛み・違和感・しびれを感じる場合は、ゴルフ肘の可能性があるため整形外科を受診しましょう。
この記事ではゴルフ肘の症状や原因、起きたときにできる応急処置方法、主な治療法について解説します。セルフケアや予防にも使える、肘の負担を和らげるストレッチも紹介しているため、肘に違和感がある方はぜひご一読ください。
ゴルフ肘とは、主にゴルフのプレーや練習のやりすぎによる疲労の蓄積、肘に負担がかかることによって起こる腱の炎症です。スポーツ障害の1つで、医学的には「上腕骨内側上顆炎」と言います。
ゴルフをする人が肘まわりに痛みを感じるときは、ゴルフ肘の可能性があります。まずはゴルフ肘の症状と原因をチェックして、今後の対策を講じることが大切です。
ゴルフ肘は、肘の内側に痛みや違和感が起こることが特徴です。その他にも手首をひねったり曲げたりする動作で痛みやしびれが起き、ゴルフだけでなく仕事や家事などの日常生活にも支障をきたします。物をつかんで持ち上げたりロープを引っ張ったりする動作をすると、特に痛みを感じやすくなります。
ゴルフ肘はレントゲン撮影だけでは診断が難しいケースが多く、見分ける際には痛みを感じる場所を確認することがポイントです。
ゴルフ肘を見分ける方法は、次の2つです。
いずれの方法でも痛みを感じるときは、ゴルフ肘の可能性が高くなります。
ゴルフ肘は、手首を手のひら側に曲げる動作が多いと発症しやすくなります。上腕骨内側上顆部の疲労が蓄積されると、炎症が起こり痛みにつながります。
ゴルフの後にゴルフ肘が起こる主な原因は、以下の通りです。
ゴルフの練習をしすぎると、上腕骨内側上顆部への負担が大きくなります。ゴルフスイングにはグリップを握ったり手首を反らせたりする動作が多く、練習量が多すぎると炎症を起こしやすくなるため注意が必要です。
ゴルフスイングのフォームが乱れると、手首や肘、関節などに負担がかかります。グリップを握る手が力んでしまう人や手首中心でスイングする人は、ゴルフ肘が起こりやすくなります。
ゴルフ肘は、ゴルフ初心者や間違ったスイングフォームがクセになっている人に多く見られる症状です。ゴルフ肘を防ぐには、正しいスイングフォームを意識して無理をせずにプレーや練習を行うことが大切です。
ただし、ゴルフ肘はゴルフだけでなく、ボーリングやアーチェリー、ラグビーやアメリカンフットボールのような手首を曲げる動作があるスポーツ全般で起きる症状でもあります。日常動作として長時間タイピング動作をしたり、重いものを運んだり、金槌やドライバーを使ったりするときにも発生するため、ゴルフをしない人でも注意が必要です。
ゴルフ肘と似た炎症に、「野球肘」「テニス肘」があります。いずれもスポーツ障害に分類されます。
野球肘・テニス肘の特徴は、下記の通りです。
野球肘は、ボールを投げる動作によって肘に過剰な負担がかかることで起こる炎症で、「内側型野球肘」「外側型野球肘」の2種類があります。内側型野球肘は、肘の内側にある靭帯の損傷により痛みが起こります。外側型野球肘は、肘の外側の骨同士がぶつかり軟骨が損傷して痛みを引き起こすことが特徴です。
テニス肘は、ラケットを握って振る動作で肘に過剰な負担がかかって起こる炎症です。フォアハンドでは上腕骨内側上顆部、バックハンドでは上腕骨外側上顆部に負担がかかります。テニス肘の発症率は、内側型より外側型のほうが高いことが特徴です。
ゴルフ肘・野球肘・テニス肘は、それぞれ痛みを感じる部位と痛みの原因となる動作が異なります。
肘の痛みを放置すると、炎症が悪化して思い通りのプレーができなくなることもあります。肘に痛みを感じたときは、まずは整形外科で正確な診断を受けることが大切です。
ゴルフ肘が起きたときの対処と治療法を詳しく解説します。
ゴルフ肘が起こったときは、プレーや練習を一時中止して手首と肘を安静にします。整形外科に向かう前に、応急処置としてRICE処置をすることがポイントです。適切な応急処置ができれば、損傷部位の炎症を最小限にとどめ、早期回復を目指しやすくなります。
RICE処置とは、「Rest(安静)・Icing(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)」を意味します。急性期のケガやスポーツ障害に有効な処置方法です。
RICE処置の正しいやり方は、下記の通りです。
Rest(安静) |
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Icing(冷却) |
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Compression(圧迫) |
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Elevation(挙上) |
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患部を冷やすときは、凍傷にならないように15~20分を目安に一度外して様子を見ます。また、患部の圧迫をするときは、循環障害や神経障害が起こらないように強さに注意が必要です。
ゴルフ肘の治療法は、安静にして痛みを軽減する保存療法が基本です。痛みが強い場合は、薬物療法も行われます。
薬物療法の具体例は、下記の通りです。
非ステロイド性抗炎症剤には、内服薬や湿布薬があります。患部の痛みが強いときは、原因部位を特定した上でステロイド注射をすることもあります。
痛みが改善するまでは、プレーや練習は控えて手首と肘をしっかり休めることが重要です。
薬物療法により患部の痛みが治まったら、理学療法(リハビリテーション)を開始します。
理学療法では、肘まわりの筋肉や腱を強化するためにマッサージやストレッチを行います。無理のない範囲で、少しずつ動かしたり伸ばしたりすることがポイントです。ゴルフ肘のストレッチには、上腕骨内側上顆部を伸ばす動作が多く取り入れられています。
リハビリテーションの一環として、痛みの軽減や筋線維の回復を早める目的で電気刺激療法や超音波療法などの物理療法が行われることもあります。
自宅で手軽にできるストレッチを知っておくと、ゴルフ肘の治療がスムーズになるだけでなく痛みの予防にもつながります。
肘の負担を和らげるセルフストレッチを紹介します。
ストレッチの回数は、3セットが目安です。腕の内側・外側の筋肉をしっかり伸ばすことで、血流が改善されて肘の可動域の回復につながります。 肘の負担を和らげるストレッチは、無理のない範囲で行うことがポイントです。痛みがあるときはストレッチを中止してください。
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、手首を手のひら側に曲げる動作を繰り返し行ったときに発症する腱の炎症です。ゴルフのやりすぎやスイングフォームの乱れだけでなく、ゴルフ以外のスポーツや日常動作でも起こります。
ゴルフ肘が起きたときには、RICE処置(安静、冷却、圧迫、挙上)を施し、整形外科を受診しましょう。また、普段から肘の負担を和らげるストレッチを行っていれば、痛みの予防にもつながります。
監修者プロフィール
福井 直樹 先生
理学療法士
学校法人響和会 和歌山リハビリテーション専門職大学 教員
(一社)日本物理療法学会 理事
(一社)日本理学療法学会連合日本物理療法研究会 評議員